胃拡張捻転症候群

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今回は大型犬で有名な胃拡張捻転症候群の症例をご紹介します。

胃拡張捻転症候群は、グレートデン、ジャーマンシェパード、シベリアンハスキー、スタンダードプードル、などの胸の深い大型犬が好発犬種とされています。

頻度は少ないですが、トイプードル、ミニチュアダックスフンド、スパニエル系などの小型犬にも見られることがあります。

典型的な症状は、吐きたくても吐けない、大量のよだれ、お腹が張ってくる(胃拡張)、元気と食欲がなくなる、呼吸が苦しそう、などです。

今回の症例は14歳のスタンダードプードルさんです。

普段から胃拡張予防のために少量頻回の給餌をされていました。

朝から落ち着きがなく、吐きたいけど吐けなさそうにしているとのことで来院されました。

症状から胃拡張/捻転が疑わしかったため、レントゲン検査を行うと胃拡張/捻転が確認されました。

この病気は時間が経つにつれて捻じれた胃が壊死していき、また拡張した胃が血管を圧迫することでショック状態に陥る恐ろしい病気です。

捻転した胃が内科的に元に戻る可能性は少ないため、多くは緊急手術が必要となります。

本症例では血圧や心電図の異常、血液検査の異常などがなく、ショック状態に陥る前の段階で来院してくれましたので、すぐに緊急手術を行いました。

手術としては、胃の整復(胃を元の位置に戻す)、再度の捻転予防のための胃固定、胃内容物除去のための胃洗浄、を行いました。

幸いなことに胃や他の臓器に損傷はなく、手術中や手術後のバイタルも安定してくれていました。

数日は集中治療を行い、高齢の子ではありましたが大きな合併症もなく、無事に退院してくれました。

胃拡張捻転症候群はとにかく治療のスピードが重要な病気です。

胸が深い犬種の子は、大型犬に限らず、普段から注意して過ごすことも重要です。

いつもと違う様子がみられたときは、お気軽にご相談ください。

副院長 藤田

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